財務アドバイザリー事業

M&Aにおける財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスの必要性 

 財務デューデリジェンスは(DD)は、対象会社または事業の財務・会計に関する状況、リスク等を検討する調査をいい、M&Aプロセスの中でも非常に重要なプロセスです。

 財務DDにて得た情報は、買収価格算定のための基礎情報となるだけでなく、ストラクチャー、買収後の統合作業のプランニングなど多岐にわたる分野の検討材料となります。

 ベンチャー投資やM&Aを行う場合、詳細に調査しないで投資や買収を行うと、想定より高い値段での買収となってしまったり、ターゲット会社の重大な瑕疵を見落としてしまう可能性があります。

財務デューデリジェンスのポイント
  • 正常収益力の分析
     企業が正常な営業活動を行なった場合に得られる収益力の分析となります。具体的には、今後発生が見込まれないスポット取引や案件成立後、事業構造や損益が変化することが明らかな項目について、調整を行います。

  • 運転資本の分析
     運転資本の分析は、正常な運転資本水準を把握し、変動要因(ドライバー)を理解し、クロージング時点での想定運転資本の試算や予測キャッシュフローの作成、季節変動等に伴う価格調整の必要性の検討を目的としております。

  • 設備投資の分析
     過去の設備投資実績および維持費用の水準が適正であったか(ディールに先立ち、必要以上に設備投資が抑制されていないか)、事業計画を達成するために必要な設備投資水準が適正に事業計画に織り込まれているかなどを分析することが目的となります。

  • ネットデットの分析
     ネットデットとは、有利子負債から現金及び現金同等物(預金、有価証券)を差し引いたネットの有利子負債をいいます。将来のフリーキャッシュフロー(FCF)を現時点の価値に引き直した上で集計することで、企業価値を算出し、そこからネットデット(純有利子負債)を減算することによって、株式価値を算定します。ネットデットの分析では、株式価値を算定するためのネットデット項目及びその金額を検出することを目的としています。

事業再生支援

 再生局面に陥った企業が再生計画を立案し、実行するに際して財務の観点から支援いたします。

 事業再生のためには、本業で稼いだ利益を表す営業利益がプラスで、債務がなければキャッシュが貯まっていく事業かどうかを把握することが重要となります。複数事業を営んでいる場合には、各事業の収益性を把握し、それぞれ単独なら事業が成り立つかどうかを把握する必要があります。

 また、事業再生には、ある程度の期間が必要で、少なくとも半年から1年はかかることが想定されます。1か月先には資金ショートを起こしてしまうという状況で事業再生手続を行って再生させるということは困難です。まずは資金ショートを回避することが最重要であり、その後、事業再生の手法を考えていくことになります。

事業再生支援の主な流れ

 再生局面に陥ってしまっている会社様に対して、主に4つのフェーズに分けてサポートいたします。

  1. 経営実態の把握
     自社を取り巻く外部環境、保有している経営資源の状況、事業別や製品別等の正常収益力、実態純資産の算定など、自社の置かれている状況を事業面および財務面の様々な角度から徹底的に検証することにより、経営課題を洗い出します。

  2. 事業計画の策定
     把握した経営課題に対してどのような施策を実行していくのか、アクションプランの検討を行った上で、その施策に基づいた将来の数値計画の策定を行います。数値的な根拠のない実現可能性が乏しい計画ではなく、どのようなアクションを実施することでその数値となるのかを一つ一つ検討した上で計画を策定することが重要だと考えています。

  3. 取引金融機関との交渉
     取引金融機関様のご理解・ご支援なしには会社の再生はほぼ不可能です。そのため、経営実態(DD)の報告、アクションプランを前提とした実現可能性の高い事業計画を提示することにより、必要な金融支援(リスケジュール、債権放棄、資金調達等)の相談・交渉を行います。

  4. 事業計画の実行
     必要な金融支援が実現したとしても、あくまでスタート地点に立ったに過ぎず、計画を達成するための自助努力が必要となります。そこで、弊社では定期的な計画と実績の比較を行い、事業計画の着実な実行を様々な立場でサポートさせて頂きます。